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概要

〇目的
 救急病院(身体科)における身体疾患と精神疾患を有する救急患者への対応をオンコールと往診でバックアップするとともに、精神科病院と救急病院の連携システムの構築に向けて最適な連携の在り方を検証し、救急搬送等における身体疾患を合併する精神疾患患者のスムーズな受け入れを実現することを目的とする。

〇事業主体:岡山市

〇連携病院:岡山市立市民病院岡山赤十字病院岡山済生会総合病院川崎医科大学総合医療センター岡山ろうさい病院岡山医療センター岡山西大寺病院岡山旭東病院岡山中央病院岡山協立病院光生病院心臓病センター榊原病院(計12病院)

実績状況(R3年度)

1.実施体制
対象となる12病院において、精神疾患患者の病状評価や治療のため往診や入院を含めたコンサルテーションが必要な際には、岡山県精神科医療センターの代表電話か同センターのホットラインに連絡があります。
岡山県精神科医療センターでは、平日の日中は救急担当の責任医師が、夜間および休日は当直の責任医師が窓口となり対応を協議します。なお平日の夜間はオンコール体制とし、往診などで人員を要する際は応援を要請します。

2.令和3年度実績
①コンサルテーション内訳<12病院:救急科>

対象となる実施機関において、12病院からのコンサルテーションは計103件となっております。
その内訳は岡山赤十字病院が14件、岡山市立市民病院が38件、岡山済生会総合病院が23件、川崎医科大学総合医療センターが8件、岡山ろうさい病院が7件、岡山医療センターが4件、岡山西大寺病院が2件、岡山旭東病院が2件、岡山中央病院が2件、光生病院が1件、岡山協立病院が1件、心臓病センター榊原病院が1件でした。
103件のコンサルテーションの結果、電話による協議のみで終了したものが21件、当院の外来を受診したが、入院しなかったものが22件、当院に入院したものが60件でした。
また、コンサルテーションに際して当院から往診したものは3件でした。

②コンサルテーション内訳<12病院:救急科以外>

対象となる12病院において、救急搬送はされなかったが身体疾患を合併する精神疾患患者についてコンサルテーションを応じたものは、84件となっております。
その内訳は、岡山赤十字病院が9件、岡山市立市民病院が25件、岡山済生会総合病院が7件、川崎医科大学総合医療センターが7件、岡山ろうさい病院が5件、岡山医療センターが5件、岡山西大寺病院が8件、岡山旭東病院が5件、岡山中央病院が3件、光生病院が3件、岡山協立病院が7件でした。
84件のコンサルテーションの結果、電話による協議のみで終了したものが31件、当院の外来を受診したが、入院しなかったものが18件、当院に入院したものが31件でした。
また、コンサルテーションに際して当院から往診したものは4件でした。
 また、12病院以外で身体疾患を合併する精神疾患患者についてコンサルテーションを応じたものは111件で、その内訳は、病院が64件、診療所が47件となっております。
 特に多かった病院は、岡山大学病院が23件、重井医学研究所附属病院が8件、岡山リハビリテーション病院が16件、岡山紀念病院が6件、藤田病院が3件でした。

<COVID-19に罹患した患者の入院受入れ>

 精神疾患を有するCOVID-19に感染した患者が適切な医療を受けるには、精神科病院が総合病院と相互の強みを生かした連携が必要になります。精神病床の入院において、当センターが県内1か所の協力医療機関となり、精神症状が重く総合病院での入院が困難な患者の入院治療に対応しております。COVID-19に罹患した患者の入院調整において、身体科からのコンサルテーションは13件でした。
全件、当院で入院受け入れを行いました。
内訳は、岡山市立市民病院が1件、岡山済生会総合病院が3件、川崎医科大学総合医療センターが2件、岡山中央病院が1件、岡山協立病院が1件、岡村一心堂病院が2件、南岡山医療センターが3件となっております。

〈医療機関連携体制、広報活動への取り組み〉

 当センターでは新たにICTを利用し、身体科クリニックの主治医と患者の診察中に当センター医師がオンライン参加する「D to P with D」を試験的に運用開始しました。
現時点では、クリニックから相談があった依存症疑いのある患者に対応し、治療に繋げております。

また、今年度は、身体疾患に対応できる医療機関と精神科医療機関との連携体制を構築すべく、肝機能障害や高血圧の既往歴があるアルコール依存症患者向けに作成した専門機関相談パンフレットを、12病院に配布しました。

<平均照会数と平均現場滞在時間>

平均現場滞在時間は、本事業を開始する前は極端に時間がかかる特殊な事例も有り、救急搬送機能全体に時に大きな影響を与えていましたが、事業開始により救急車の受入病院が決まるまでの時間が減少し、救急車の現場滞在時間が短くなりました。
しかしながら、2020年からはCOVID-19の影響があり18.6分と若干延長しましたが、精神疾患が重度であるとの理由で搬送困難になることはほとんどありません。また総合病院救急科から60件、救急科以外から31件、合計91件の転入院があり、精神科病院から総合病院への身体合併症による転入院が円滑となりました。

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